試し切りで見る日本刀の威力

御様御用を務める家にとって、「首斬り」とはそもそも副業として行なっていたものとされています。町同心の打役には、刀の研代として、死罪人の財産である、田畑や家屋敷、家財などを没収・ 売買した金銭を支給していたと言います。しかし、御様御用のある人物は、逆に礼金を差し出していたと伝えられているそうです。「御様」に死体は欠かせず、また稽古にもなるわけではありますが、その実、その人物の家は、諸大名家からの様物の依頼が多く、謝礼金の収入もたかった為という説もあるようです。さて、副業の首斬りではなく本職の試し斬りを見ていきましょう。腰物奉行より御用の通知を受け、牢屋敷内の御様場と呼ばれる場所で行われるとされているようです。腰物奉行はもちろん、その配下の者、牢屋見廻り役の町与力衆のほか、研師や自身の弟子などの注目する中の胴を試すという状況は、御様御用冥利につきるというほどの晴れ舞台だったと言えるのではないでしょうか。胴試しに限らず、試し切りのための準備に「切柄」というものがあるそうです。刀の柄にはめる、通常とは異なったつくりの柄であり、試刀の切れ味をよくするために、柄の重さと長さを増すように考えられた道具で「裁断柄」とも呼ばれていたようです。また、小脇差や短刀の試刀では短い柄では非常に不都合だったため考案されたとも言われています。重量を増すため、鉛製の鐔をつけることもあり、これを「試し鐔」と呼んでいたとされているようです。また、同じ胴でも、人体の個性によって堅さに差があるのは明白であり、刑死後の時間経過によっても硬直度合いが変わってくるでしょう。そこで、試し切りの秘伝書には裁断箇所の相異が明示されていたと言われています。つまり、あまり差異のないような骨の多い部位を明示していたと言えるのではないでしょうか。