試し斬りの技術と心得

試し切りの方法として難易度が高いと伝えられているものに「釣り胴」「払い胴」と呼ばれる方法があるそうです。「釣り胴」は、両手首を纏めて縛り上げ、その不安定な状態の三の胴を払い斬りにする方法とされ、また「払い胴」は釣らずに立たせたままで払い斬りする方法とされ、どちらも生胴試しで実践されていた方法とされているようです。このほかに、据物斬りの場合の基本的な法があるので、少し見てみましょう。まず、土壇に立つ際は、足を肩幅に開き、八の字形に土を踏み、前傾姿勢になるよう腰を折るとされ、用いる刀は切柄の頭部を左手で握り、その手に右手を添えて握るとされています。そして、目標部位の少し左側に切先をあて太刀筋を確認すると共に、心づもりとして、土壇の底辺まで切り込む覚悟を定めるとされているようです。胴だけでなく、地軸まで斬り下ろす意気込みがない場合、仕損じる事が多くあったのも事実のようです。そうして気も充ちた時、刀を真っ向上段に振り被り、大きく弧を描くように振り下ろしながら、胴に達する瞬間に引斬りにするというのが、試し切りの一連の方法であると伝えられているそうです。これは、基本中の基本であり、代々続く御様御用の家には、あらゆる芸や武術の道と同じく奥深い教えがあるとされているのはいうまでもないでしょう。

打ちつくる太刀は柳の枝なれや すへにおもりのあるとしるべし

これは、試刀教歌として伝わった歌であり、柳の枝の先に重りをつけるように、刀の切っ先に重心をうつすように斬り下ろすといったことを歌っているものでしょう。こうした歌は、ほかにも多く残されているようで、試し切りの奥深さに触れることができると言えるのではないでしょうか。