4つのランク「業物」

幕末には、諸藩で多く「堅物試し」が行われていたというのをご存知でしょうか。これは動乱の最中、日本刀の最重要条件3つのうち「折れないこと・曲がらないこと」という2つの条件が、より重要と考えられ、求められていたからではないでしょうか。その例を挙げるとすれば、水戸藩において、次のような堅物試しがよく行われていたとされています。其一「棒試し」打手が樫の棒で、正眼に構えた刀の平で、表裏両面を横殴りにし、棟を打ち叩く。其二「巻藁試し」其三「鹿角試し」鹿の角を試し斬りにする。其四「水試し」刀の平で水面を叩く。と言ったことが行われていたと伝わっているようです。藩によっては鉄板や兜なども用いられていたと言われています。その中でも、現在一般的に行われているのが「巻藁試し」でしょう。近年では竹を藁で巻いたものを斬ることが多く、これを丸一日水に浸しておくと「一ツ胴」の「一の胴」と同様の堅さになると言われています。また、現在は藁がなかなか入手できないことは、巻藁の太さが均等でないことから、畳表を藁の代用品として用いるのが試し斬りの大会規定となっていることも多いと言われています。この「試し切り」によって刀のランクがつけられているのをご存知でしょうか。ある書物によると、より堅い胴の、より堅い部位を両断した刀を「大切れ者」と呼び、10振のうち8振あるものを「最上大業物」それから大切れ物の数が減るごとに「大業物」「良業物」「業物」というように4ランク評価を下して言ったと伝えられているようです。試し切りというものは、日本刀の武用上の真価を見極めるための大切な儀式とも呼べるものであり、武士の間でも信頼をおくべきものとして認識されていたようです。その技術や方法、心得などが今日にまで伝わっているのが、そのことを何よりも尊いことだと伝えていることと言えるのではないでしょうか。